ちょう戦!ミクロの世界
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「これは何でしょうか。」
ぼくがとった写真をお母さんに見せると,
「トンボの複眼じゃない。」
とお母さんは答えました。ぼくは,ちょっとうれしくなって,おばあちゃんにも同じクイズを出してみました。すると,おばあちゃんもやっぱり,
「トンボの目でしょ。」
と答えました。みんながぼくの思い通りにひっかかったので,思わず笑ってしまいました。実は、その写真に写っていたものは、250倍に拡大したカの複眼だったのです。
ぼくは今年の夏、昆虫たちのミクロの世界にちょう戦しました。ぼくは、一年生のころからいろいろな昆虫をとって、標本にし、観察することにずっと夢中でした。昆虫教室に入って、てんし(チョウなどの羽を広げて標本にすること)の仕方を勉強し、出かける時は、いつもほ虫あみを持っていきます。標本の数も10箱をこえました。羽の色や形のちがいも、知らず知らずのうちにすっかり覚えてしまい、飛んでいるすがたを見ただけで、ほとんどの昆虫の名前を言い当てることができるようになりました。
そしてこの夏、ぼくは新しいちょう戦をすることにしたのです。(昆虫の複眼は、ほんとうに六角形の目の集まりなのだろうか。チョウのりんぷんは、どんな形をしているのだろうか。)昆虫のミクロの世界にちょう戦です。
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1.観察器具の準備
・けんび鏡(60倍から250倍まで見れる物)
・ルーペ(15倍の物)
・パソコン用のCCDカメラ(観察した物を写真やビデオにとって記録する物)
・虫ピン(虫をおさえる物)
・ライト(まわりが暗いとき明るくする物)
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2.ミクロの世界
(1)複眼
この観察で一番おどろいた物が、カの複眼です。さされるとかゆくて人間たちからきらわれているカ。そのカの複眼がなんと、トンボにそっくりだったのです。250倍で見てみると、緑色で、光をあてると金色にかがやきました。一つ一つが六角形で、きれいにならんでいて、それはまるでハチの巣のようでした。あまりにもきれいで思わず
「うぉーっ」
とさけんでしまいました。写真をとった後、お母さんとおばあちゃんにクイズを出したら、案の定、ぼくと同じ見方だったようです。ぼくは、カの複眼を観察していて(カも昆虫なのだから複眼を持っているのはあたりまえだなあ。)とあらためて思いました。
また、セイヨウミツバチの複眼には、なんと毛がはえていたのです。(体全体に毛がはえているけれど、まさか複眼にまでとは。何の役にたつのだろう。)と、かなりぎ問でした。
その他にもチョウ、ハエ、アリ、トンボ、コガネムシの複眼も観察しましたが、どれも大変よく似ていました。
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(2)羽
ミクロの世界でぼくが一番見たかったものは、チョウの羽のりんぷんです。最初、羽の表面を低い倍率で見てみました。表面は、でこぼこしていてりんぷんが付いていることが分かりました。次にもう少し倍率を上げてみると、りんぷんがうろこのようにならんでいることが分かりました。りんぷんがはがれて黒くうつっているのもはっきり分かりました。もっと倍率を上げると、桜の花びらのような形をしたりんぷんが規則正しくならんでいました。スライドグラスの上で羽をたたき、りんぷんを落として、りんぷんだけ見てみました。そうしたら、図鑑にのっているのと同じような桜の花びら一まい一まいにそっくりなりんぷんを見ることができました。ぼくは、これが見たかったのです。感動してしまいました。
ハエやカ、ハチ、トンボ、コガネムシの羽は、まるでステンドグラスです。骨組みのようなわくに、半とう明のガラスがはめこまれているように見えます。特にカの羽は、光を当てると、七色にかがやいてきれいでした。ハチの羽は、骨組みがしっかりしていてじょうぶそうで、ステンドグラスと言うより、骨組みがななめになっている障子と言った方がぴったりすると思いました。
(3)口
口は、もちろんそれぞれの昆虫の食べ物にふさわしい形のなっているはずです。チョウは、花のみつをすいやすいストローの形で、ふだんは、まいています。綿にさとう水をしみこませてすわせてみると、ストローの先はだんだん細くなっていました。カの口は、注しゃ針のようになっていて、するどくとがっていました。これでぼくたち人間の皮ふをさすのかと思うと、ちくっとした感じがしました。おもしろいのは、ハエです。逆三角形の口に、やわらかそうな毛がたくさんはえています。その口でさするようにして食べ物をなめます。
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(4)足
昆虫の足は、どれも木の枝のようです。ハエやカやアリは、冬に葉をすべて落とした細い木の枝の先にそっくりでした。ハチやトンボやコガネムシは、バラの枝のように、するどいとげがあり、先に2本のつめを持っています。特にトンボは、先がL字形に曲がっていて、まるでくぎぬきのようでした。
それと正反対だったのがチョウの足でした。歯間ブラシのようにやわらかい毛がたくさんついていて、観察した昆虫の中では、一番やさしそうでした。このやさしそうな足だからこそ、コスモスなどのひらひらした花にも軽くとまることができるのでしょう。
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