平成13年・夏休みの作文
林 卓人(大河原小4年)
卓人ぼくは水中カメラマン
「おっ,チョウチョウウオだ。」
すぐそばに,黒と黄色のしましまが見えました。ぼくは,水中めがねをきつくかけ直し,「いち,にの,さん。」
息を思いっ切りすいこんで,一気に海中にもぐりました。さんごしょうの間の深い所まであおり足で近づき,水中カメラをかまえました。20cmぐらいのあざやかなチョウチョウウオは,まるで,海の中を大型のキアゲハがまうように,ゆうがに泳いでいました。水中カメラのピントを合わせるために足を止めると,自然に体がういてはなれてしまうので,カメラがゆれないてい度に細かいバタ足をしながらシャッターをおしました。カシャッ。(やったぁ。)ぼくは,海面にゆっくりとうかび上がりながらガッツポーズをとりました。
水中めがね ぼくは,今年の夏,沖縄に行きました。ぼくの大好きな虫とりをするためです。南の方には,ぼくのすんでいる東北にはいない変わった虫がいるからです。でも,もう一つ,楽しみにしていたことがあったのです。
「卓人,沖縄の海はきれいで,さんごしょうの間にきっと魚がいるぞ。シュノーケリング,楽しいぞ。」というお父さんのことばに,テレビで見た青い海を泳ぐいろいろな色の熱帯魚たちを思いうかべました。
「クマノミやチョウチョウウオもいるかなぁ。」と聞くと,「きっといると思うよ。」というので,ますます楽しみになりました。ぼくは,スイミング2級なので,泳ぐのは自信がありますが,シュノーケリングは生まれて初めてです。(シュノーケリングで,魚の写真をとるぞ。)ぼくはやるき満々で,さっそく,お父さんと水中カメラを買いに行きました。水着,水中めがね,虫とりあみ,じゅんびはオーケーです。
いよいよ沖縄に着陸です。飛行機をおり,沖縄の空港を出ると,むわっと熱い空気に囲まれました。あまりの暑さに,ため息が出てしまいました。ビルの上の温度計は,36度をしめしていました。
2日目,待ちに待った海です。船で1時間ほど行ったところにある「ざまみ島」に行きました。バスでビーチに着くと,さっそく海へ走っていきました。海の水はとう明で,砂の一つぶ一つぶがはっきりと見えました。波打ちぎわから5mほど行くと,急に深くなって,びっくりしました。もぐってみると,大人の手のひらぐらいのすき通った魚や,真っ青な魚たちがうようよいました。(クマノミやチョウチョウウオもきっといるはずだ。)
でも,足のつかない所で長い時間泳いでいられません。そこで,お父さんに立ち泳ぎのし方を教えてもらいました。手は,バイバイするように動かし,足は八の字をえがくように動かします。スイミングで習ったスカーリングとにています。
次は,シュノーケルの使い方です。シュノーケルをくわえていると,ずっと海の中を見ていても,息ができるので,苦しくなりません。けれども,深くもぐるとシュノーケルの中に水が入って,息ができなくなってしまいます。
「うげぇ。」沖縄の海の水は,特別しょっぱくて,しぶい味がしました。
「もぐる前に,息をたくさんすいこんでおいて,水面に出たら,シュノーケルの中の水を思いっ切りふきとばすんだよ。」と,お父さんから教えてもらいました。これで,思うぞんぶん魚の写真がとれます。
ぼくは,水中カメラを持って,さんごしょうの上を,シュノーケリングしまくりました。めあてにしていたチョウチョウウオを見つけると,ぼくは夢中になって追いかけました。
しばらく泳いでいるうちに,さんごしょうの間にいる黒いウニや,小さな青い魚にまじって,イソギンチャクの間から顔を出しているクマノミを,ついに見つけました。クマノミは,500円玉ぐらいの大きさで,まるで,赤い着物に,白い帯を着けたようです。
ぼくがちょっとでも動くと,すばやくイソギンチャクの間にかくれてしまって,なかなかシャッターチャンスがつかめません。何度か近くまでもぐっているうちに,一度だけクマノミの方から出てきてくれました。(今だ。)ぼくは,いそいでシャッターをきりました。あわてていたので,うまくとれたかどうか心配だったけど,大好きなクマノミを目の前で見ることができたので,とても感げきしました。
海がん近くの森で,虫とりもしました。見たこともない緑色のタマムシやきれいなチョウ,沖縄にしかいないベッコウチョウトンボなどを,つかまえました。
今までは,虫とりが一番の楽しみだったけど,シュノーケリングで海の中のいろいろな魚と出会うことができて,新しい楽しみができました。
虫とりもシュノーケリングもどこかにています。やればやるほど夢中になって,どんどん知りたくなります。

今,ぼくの手の中には,きれいな虫のひょう本と,海の中の魚の写真があります。(来年の夏もぜったいにつれていってね。)と,心の中でお父さんにお願いしました。

文/絵/写真 : 卓人
Technical Advisor : 卓人の父